Google、Gemini 3.7 Flashを公開 - 3.6 Flashの3週間後、年内は半額の導入価格

Googleが8月13日にGemini 3.7 Flashを公開。コーディングとエージェント向けの主力モデルで、年内は入力100万トークン0.75ドル・出力3.75ドル。2027年1月から倍額に戻る価格設計と、示されたベンチマークを整理する。

Google、Gemini 3.7 Flashを公開 - 3.6 Flashの3週間後、年内は半額の導入価格

Googleは2026年8月13日、Gemini 3.7 Flash を公開した1。Googleはこれを「コーディングとエージェント向けの、これまでで最も賢い workhorse モデル」と位置づけている1。前世代にあたる Gemini 3.6 Flash の公開からわずか3週間後のリリースで、Google自身も「3.6 Flash のわずか3週間後のリリースであり、開発者のフィードバックとアルゴリズムの革新の直接の結果だ」と説明している1

価格は年内限定の導入価格として、入力が100万トークンあたり0.75ドル、出力が100万トークンあたり3.75ドルに設定された1。Googleはこれを「元の3.6 Flash の100万トークンあたりコストの半分」と表現している1。ただしこの価格には期限があり、脚注で2026年12月31日に終了し、2027年1月1日からは入力1.50ドル・出力7.50ドルが適用されると明記されている1

Googleが示した改善幅

Googleはベンチマークを4つの領域で示しているが、比較対象はいずれも直前の3.6 Flash であり、他社モデルとの比較数値は示されていない。以下の数値はすべてGoogleが自社ブログで提示したもので、独立した第三者による検証ではない。

コーディングでは、デバッグや課題解決で3.6 Flash から伸びがあり、初回のコードの正確性が上がり、本番投入できるコードの生成が改善したとしている1。数値は FrontierCode 1.1 Main が43.6%(3.6 Flash は34.4%)、DeepSWE v1.1 が65.3%(同49.0%)1

Web開発では、より少ないプロンプトで機能するレイアウトと機能の揃ったアプリを生成するとし、UI生成についてはスクリーンショット・画像・デザインシステムのいずれを参照入力にしても再現性が高いとしている1。Arena.ai の WebDev Arena では Elo が1588で、3.6 Flash の1538を上回るとしている1

金融・法務・バイオサイエンスのような知識密度の高い分野については、複雑な文書処理を測る GDP.pdf ベンチマークで34.0%(同22.0%)、実世界の業務ワークフローの遂行を見る AutomationBench で30.4%(同17.0%)という数値を挙げている1。いずれも、単発の質問応答ではなく文書や業務の手順を扱う評価にあたる。

開発者体験の面では、行き詰まりへの適応、必要なときに意図を確認する挙動、指示への忠実さが改善したとし、多段の計画とツール呼び出しにより多くの労力を割くようになったと説明している1。Googleはその結果として「エンジニアリングのワークフローで手作業の監督とリトライが減る」としている1

導入価格と、2027年1月に戻る価格

価格の設計は、単純な値下げとは構造が違う。当サイトが7月21日にFlashティアの3モデル公開を扱った際、3.6 Flash の価格は入力100万トークンあたり1.50ドル、出力100万トークンあたり7.50ドルとされていた3。今回の脚注が示す2027年1月1日以降の価格は、この3.6 Flash の水準と同じ数字になる13

つまり年内の0.75ドル/3.75ドルは、Googleが明示しているとおり期間限定の導入価格であり、恒久的な単価ではない。エージェントのように1つのタスクで何度もモデルを呼び出す構成では、単価の差がそのまま運用費に効く。年内の単価で試算した年間コストは、2027年1月以降そのままでは通用しないことになる。予算を立てる側から見ると、導入価格で見積もった数字と、期限後の数字の両方を並べておく必要がある。

価格帯の競争そのものは続いている。OpenAIが7月末にGPT-5.6の値下げとFastモードを打ち出したように、性能そのものより「性能あたりのコスト」で位置取りを示す発表が各社から続いており、今回もその流れに沿ったものと読める。ただし今回の導入価格は期限が明記されている点で、恒久的な値下げとは扱いが異なる。

どこで使えるか

Googleは提供先を3つに分けて示している1。開発者向けには、エージェント優先のワークフローを試す場として Google Antigravity を挙げ、あわせて Google AI Studio と Android Studio 経由の Gemini API で構築を始められるとしている1。企業向けには Gemini Enterprise Agent Platform と Gemini Enterprise アプリ、個人向けには Gemini アプリのパーソナルエージェント Spark 経由で、Google AI Pro と Ultra の加入者が対応国で利用できるとしている1

Spark については、Google AI Pro・Ultra の加入者向けに160か国以上で提供されており、発表と同日から Gemini 3.7 Flash を使うようになるとしている1。この160か国以上という数字は Spark の提供範囲を指すもので、モデル自体やAPIの提供国数ではない。GoogleはSparkについて、Google Workspace アプリのツール利用が改善し、複数のスキルをまたぐ複雑なワークフローでの正確さと出力品質が上がったと説明している1

Google以外の経路もある。GitHubは同じ8月13日のchangelogで、Gemini 3.7 Flash を GitHub Copilot で選べるようにしたと発表している2。対象は Copilot Pro・Pro+・Max・Business・Enterprise で、提供元の定価に基づく従量課金となる2。ただし Business と Enterprise では、管理者が該当するポリシーを有効にするまで組織の誰も選択できない2

安全性については、Googleは Frontier Safety のセーフガードを継続的に改善しているとし、3.7 Flash は化学・生物・放射性物質・核(CBRN)とサイバー攻撃の領域での悪用に対する更新されたセーフガードとともに出荷されると説明している1

3週間で世代が変わるという前提

7月21日に3.6 Flash・3.5 Flash-Lite・3.5 Flash Cyber の3モデルが同時に公開され3、その3週間後に3.7 Flash が出て、同じ日に GitHub Copilot でも選べるようになった12。この間隔だと、モデルを固定して評価しきってから採用する進め方は現実的でなくなる。主要ツールの料金を横並びで見る場合も、特定のモデルの性能そのものより、モデルの差し替えがどれだけ手早くできるか、単価が変わったときに構成を組み替えられるかという観点が効いてくる。

今回の発表で確認できる範囲では、Gemini API での提供段階(一般提供かプレビューか)はGoogleの発表文に明記されていない。GitHub側はポリシー名に「Preview」を含めているが2、Google側の位置づけとは別に扱うのが安全だろう。本番のワークフローに組み込む前に、自社の実タスクで3.6 Flash との差を測っておくのが、公表されたベンチマークとの距離を確かめる実際的な方法になる。

Sources

  1. Introducing Gemini 3.7 Flash - Google公式ブログ(2026年8月13日)
  2. Gemini 3.7 Flash is now available in GitHub Copilot - GitHub Changelog(2026年8月13日)
  3. Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber - Google公式ブログ(2026年7月21日)

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