Googleが2026年8月19日、新学期に合わせた学習機能をSearchとGeminiの両方でまとめて公開した12。Search側は5つの機能追加、Gemini側は学習ツールの拡充に加えて、対象となる大学生に有料プランを1年間無償で提供するという価格面の手が含まれる2。
前日の8月18日にはOpenAIが18歳未満を自動で振り分ける「ChatGPT for Teens」を公開している。主要2社が同じ週に、それぞれ違うやり方で学習の場面を取りに来た格好になる。
Search側: クイズ、Lens、そしてノートブックの移動
Googleは今回の発表を、「Search のAIを通じて学習を引き上げる新しい方法」であり、教育向けのツールは「safe by design」で作られていると位置づけている1。挙げられているのは5つだ。
ひとつめはインタラクティブなビジュアル。Searchが複雑な話題を動かして見せるためのツールやシミュレーションを生成する。例として、「ph scale」と検索するとAI Overviewの中にインタラクティブなビジュアルが出て基礎を理解できる、という使い方が示されている1。生成UIの機能はAI Modeで英語のグローバル提供が始まっており、AI Overviewsへの展開も開始した1。
ふたつめは練習クイズ。科学・数学から人文、外国語まで科目を問わずカスタマイズしたクイズをSearchの中で直接受けられる。標準テストではACT、AP、ENEM、GRE、JEE、LSAT、MCAT、NEET、SATに対応する1。The Princeton Review、Careers360、PhysicsWallah、Akira Enem との提携により、試験対策の専門家による内容を使うという説明だ1。英語で無料、グローバルに提供済みで、AI OverviewsとAI Modeの両方で使える1。
みっつめはLens。数週間内に、手元で取り組んでいるものを撮影すると、説明を返し、間違えた可能性のある箇所を指し示し、詰まったときに手助けする体験が加わる1。展開は英語でグローバル、こちらも「数週間かけて」となっている1。
よっつめが、Gemini Notebook(旧NotebookLM)のノートブックをAI Modeに持ち込む変更だ1。授業ごと・プロジェクトごとにノートブックを作り、スライドやシラバス、Web記事に加えて、関連する過去のAI Modeのスレッドまで入れられる1。既存のノートブックはSearchに自動的に現れ、各ノートブックのソースと指示がGoogleのプロダクト間で同期する1。展開は数日かけて180以上の国に英語で、現地語対応はその後の数週間とされる1。ただし脚注で、欧州経済領域(EEA)は対象外と明記されている1。
いつつめは資料の生成。アップロードしたファイルやAI Modeのスレッドをもとに、そのまま使える学習用の資料を作らせる。手書きノートの写真と講義スライドを渡して要点をまとめた1枚を作らせる、といった例が挙げられている1。AI Modeでは英語でグローバル提供済み、AI Overviewsには近く提供される1。当初は文書・スライド・スプレッドシート・テキストファイルが対象となる1。
Gemini側: 1年無償の条件を先に読む
Gemini側の発表で目を引くのは価格だ。米国の対象大学生には Google AI Pro を1年間無償(月19.99ドル相当)で提供する2。Geminiの利用上限が4倍になり、Gemini Spark、GmailやGoogle DocsといったGoogleアプリ内のGemini、5TBのストレージ、Google Health Premium などが含まれる2。米国外では Google AI Plus を1年間無償で提供し、こちらはGemini Omni、利用上限2倍、400GBのストレージなどが対象になる2。脚注によれば対象は Google AI Plus が提供されている140超の市場の適格な学生で、米国、ボリビア、アルバニア、カナダ、マカオ、香港、チュニジアは除かれる2。広告なしの音楽・動画配信を求める学生向けには、Google AI ProとYouTube Premiumのバンドルを最大70%オフで用意している2。
ただし、無償の条件は脚注に書かれている。米国分・米国外分のどちらも、引き換えは2026年12月31日まで、申し込み時に有効な支払い手段の登録が必要で、それより前に解約しない限り、トライアル終了後は自動的に課金される。金額は米国のGoogle AI Proが月19.99ドル、米国外のGoogle AI Plusが月4.99ドルまたは現地通貨の相当額となる2。いずれもいつでも解約可能とされているが、無償期間が終わったあとは能動的な解約が要る形だ。
機能面では、Geminiアプリに学生向けの専用ハブが加わった。学習ノートブックの開始、フラッシュカードの作成、練習クイズの受験などをここから始められ、Googleは今後の学習ツールもここに追加していくとしている2。アクセス先は gemini.google.com/students2。
学習ノートブック自体は6月に提供が始まっていたもので、講義ノートなどの教材をアップロードすると、学習項目を分解する計画を立てる。診断クイズで知識の穴を特定したうえで、小さく区切ったレッスンとクイズを作り、進捗をリアルタイムのダッシュボードで追える2。数週間内にはレッスンの中でグラフや画像を扱えるようになり、利用者の許可を前提に、シラバスから試験や課題の期日をGoogle Calendarに登録する機能も予定されている2。
このほか、インタラクティブな可視化では、質問に応じて表・グリッド・シミュレーションといった視覚要素を含む回答を返す。「DNAの仕組みを3Dで見せて」と頼めば、回転や拡大ができる3D構造が返る、という例が示されている2。またGemini Live に Deep Research が入り、多段階の調査レポートを走らせたあとチャットを閉じたり画面をロックしたりしても、バックグラウンドで非同期に処理が進み、完成すると通知が届く2。学生ハブ、学習ノートブック、インタラクティブな可視化、Gemini Live の Deep Research は、この日からGeminiアプリの全利用者に展開されている2。
無償配布と、資料の置き場所
同じ週に主要2社が教育に向かったとはいえ、手の打ち方は対照的だ。OpenAIは年齢で入口を振り分け、保護を既定で有効にした。Googleは機能を全利用者に配りつつ、学生には価格をゼロにするほうを選んでいる。
無償配布そのものは珍しくないが、この規模のプランを12か月分となると、獲得したあとの転換を見込んでいると考えるのが自然だろう。Geminiアプリが月間10億ユーザーに到達した段階から、次は利用者を有料層にどう移すかが焦点になる。Gemini 3.7 Flashで年内は半額の導入価格を設定したのと同じく、価格を入口の道具として使う動きが続いている。
学生でない人にとって実務的に効くのは、むしろノートブックの扱いのほうかもしれない。Gemini Notebook とGeminiアプリ、そしてSearchのAI Modeで、ソースと指示が同期する1。資料をどこに置くと、どのツールから参照できるのか——その線引きが引き直された、と読むこともできる。ノートブックのAI Mode対応がEEAで対象外になっている点も、地域によって使える形が違うことを示している1。
無償期間の自動課金への切り替えは、学校や家庭で勧める場合には先に伝えておいたほうがよい種類の条件だ。金額は地域で違うが、1年後にどうするかを決める日付が申し込みと同時に発生する点は共通している。
Sources
- 5 new ways to level up your learning with Search - Google公式ブログ(2026年8月19日)
- Start the semester with one year of Gemini, on us - Google公式ブログ(2026年8月19日)