Devin開発元Cognition、Poke開発元The Interaction Companyを買収

コーディングエージェントDevinを手がけるCognitionが、テキストメッセージ常駐型AIエージェント「Poke」のThe Interaction Companyを買収。直近3か月で1億通超をやり取りしたPokeの能動的な対話体験をDevinに取り込む狙いだ。

Devin開発元Cognition、Poke開発元The Interaction Companyを買収

コーディングエージェント「Devin」を開発するCognitionは2026年7月23日、パーソナルAIエージェント「Poke」を手がけるThe Interaction Company of Californiaを迎え入れると公式ブログで発表した1。発表はScott Wu CEOの名義で、買収額は公表されていないが、TechCrunchは「low nine figures」(数億ドル規模)と報じている2

コードを書くエージェントの会社が、友人のように話しかけてくるコンシューマー向けエージェントを数億ドル規模で買う。この組み合わせが示すのは、AIエージェントの競争軸がモデルの性能だけでなく、「どう話しかけてくるか」という対話体験に移りつつあることだ。

Pokeとは - メッセージアプリに「住む」エージェント

Pokeは、テキストメッセージの中に常駐するパーソナルAIエージェント1。多くのAIアシスタントがユーザーに開かれるのを待つのに対し、Pokeは自分から先にメッセージを送り、用件をフォローアップしてくる設計で、Cognitionは「ソフトウェアというより友人に近い感覚」と表現している1

2026年3月のローンチから急速に利用が伸び、直近3か月で1億通を超えるメッセージがやり取りされた12。利用者は数十万人規模に達し1、2026年6月にはAppleのMessages for Businessプラットフォームで初のAIエージェントとして承認された2。Cognitionも「Apple Messages上でネイティブにテキストできる唯一の承認済みAIエージェント」だと強調している1

一方でTechCrunchは、Pokeの運営コストが高く、利益化が難しかったという事情も指摘している2。急成長するコンシューマーエージェントが、体力のあるインフラ企業に合流する構図でもある。

買収の狙い - Pokeの「性格」をDevinへ

Scott Wu氏は買収の狙いを、Pokeが実現した能動性とパーソナリティにあると説明する。「Interactionのチームは人々に愛されるエージェントを作った。能動的で、ユーザーを知っていて、話していて楽しい。Devinとの仕事もまさにそうあるべきだ」という1。また、両チームは「常時稼働のクラウドエージェント」という同じ方向に賭けてきたとも述べている1

TechCrunchによると、Wu氏と共同創業者のWalden Yan氏は買収前からPokeのエンジェル投資家であり2、The Interaction Companyの共同創業者にはMarvin von Hagen氏が名を連ねる2

当面の製品への影響は限定的だ。Pokeユーザーはこれまでどおり製品を使い続けられ1、TechCrunchによると年末までPokeに変更はなく、両製品の統合実験は2027年から始まる予定だという2。Poke側はCognitionのモデルとインフラを得て、速度と信頼性の向上を図る1

買収でエージェントの完成形を組み立てるCognition

Cognitionは買収によって足りないピースを埋める戦略を続けてきた。2025年7月にAIコードエディタのWindsurfを買収し、2026年6月にはWindsurfをDevin Desktopへ統合して、クラウドエージェントとローカル開発環境を一体化した。自社開発でも2025年10月に高速エージェントモデルSWE-1.5を投入している。

エージェント企業による買収は業界全体の潮流でもある。OpenAIは2026年6月にクラウド開発環境のOnaの買収で合意しており、エージェントの実行環境や利用体験といった「モデルの外側」を買収で固める動きが続く。今回のPoke買収は、その競争が開発ツールの機能から対話体験・パーソナリティにまで広がったことを示している。

エージェントは「呼び出すもの」から「話しかけてくるもの」へ

AIコーディングツールとしてDevinを検討・利用している読者にとって、短期的な変化はない。注目すべきは2027年に予定される統合実験以降で、Devinが進捗を自分から報告し、確認事項を先回りで聞いてくる、といったPoke的な体験が加わる可能性がある。

より広く見れば、この買収は業務でエージェントを選ぶ際の評価軸が変わりつつあることを示している。同等の性能なら、放置しても自分から動き、状況を報告してくるエージェントのほうが実務では価値が高い。ツール選定の際には、ベンチマークの数字に加えて「エージェントがどう報告し、どう確認を取ってくるか」という運用面の設計を見る価値がありそうだ。

Sources

  1. Welcoming The Interaction Company - Cognition公式ブログ(2026年7月23日、Scott Wu CEO)
  2. Why Cognition bought Poke: AI personality is becoming a competitive advantage - TechCrunch(2026年7月24日)

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