AIコーディング3ツールの動かし方比較 - Claude Code・Cursor・Google Antigravity

AIコーディング3ツールの動かし方比較 - Claude Code・Cursor・Google Antigravity

Claude Code・Cursor・Google Antigravityを「エージェントをどう並列に動かし、どこで結果を確認するか」の軸で比較。2026年9月25日〜26日に確認した各社公式ドキュメントをもとに、並列実行・クラウド実行・集約画面・レビュー導線・スケジュール実行・API/SDK・外部からの起動を整理した。

AIコーディングツールの比較というと、補完の精度やモデルの性能が話題になりやすい。ただ、Claude Code・Cursor・Google Antigravityの公式ドキュメントを並べて読むと、各社が説明に多くの分量を割いているのは別のところだ。人が席を外している間もエージェントに作業を進めさせることと、その結果をどこで確認するかである。

この記事は料金でも性能でもなく動かし方を軸に3ツールを整理する。以下の内容はすべて2026年9月25日および26日に確認した各社公式ドキュメントの記述に基づく。各社のドキュメントは継続的に更新されるため、導入前には最新の記述を確認してほしい。

なお、対象は3つに絞った。Devin Desktopは公式ドキュメントで機能の記述が複数の場所に分散しており、横並びにすると製品ごとに調べた深さが揃わなくなるため、今回は扱わない。対象から外したというだけで、Devinに以下の機能がないという意味ではない。

並列の作らせ方が3者3様

3つとも複数のエージェントを同時に走らせられるが、作り方の系統が違う。

Claude Codeは、同時に複数の作業を進める方法をsubagents・agent view・agent teams・dynamic workflows・projectsの5つとして整理し、「どれだけ人が関与し続けるか」と「作業が手元のマシンで動くかクラウドで動くか」で違うと説明している1。agent viewは claude agents で開く画面でresearch preview、agent teamsは実験的機能で既定では無効、projectsはProとMaxでのpublic betaと、それぞれ状態が明記されている。並列セッションが同じファイルを編集しないようにする仕組みはworktreesで、これは実行方法ではなく分離のための道具という位置づけだ。/batch は1つの大きな変更を5〜30個のworktree分離されたサブエージェントに割るスキルとして説明されている。

CursorはAgents Windowに寄せている。ローカル・クラウド・リモートSSHなどをまたいで複数リポジトリのエージェントを扱う統合ワークスペースで、Cursor 3とともに2026年4月2日に一般提供になった2。Agents Windowでのみ使える機能としてマルチワークスペース、新しいdiffsビュー、クラウドでの並列エージェント、ローカルとクラウド間の引き継ぎ、/in-cloud によるクラウドサブエージェント、そしてworktrees(分離されたGitチェックアウトで各タスクに独自のファイルを持たせる)が挙げられている。ただしworktreesについては、ドキュメントに記載されたUI組み込みの版がAgents Window限定で、IDEではWorktree Skillsのコマンドを使うと明記されている。worktreeを作るときの設定ファイル .cursor/worktrees.json は、Agents Window・IDE・Cursor CLIのいずれで作成する場合も読まれる17。

Cursorにはこのほかにsubagentsがあり、エディタ・CLI・Cloud Agentsのいずれでも使えて、複数を同時に起動できると説明されている18。さらにProjectsは、自らコードを書かないコーディネーターエージェントが計画と委任を担い、必要なだけのエージェントを並列に動かす仕組みで、Agents Windowの左ナビに置かれCloud Agents上で動く。全ユーザーへ展開中だが、Enterpriseプランでは使えず、Privacy Mode(Legacy)でも使えない19。

Google Antigravityは親エージェントが invoke_subagent ツールを呼んで並行セッションを生む形だ。サブエージェントのワークスペースは親と同じものを引き継ぐ(inherit)、独立したGit worktreeを作る(branch)、ディレクトリを共有する(share)から選べ、親は複数のサブエージェントを同時に起動できる3。Projectsの側もGit worktreeをネイティブに対応し、エージェントを分離された背景フォルダで動かせるとしている4。Projectsは複数フォルダを1つの会話で扱えるので、フロントエンドとバックエンドのリポジトリをまたぐ作業を1つの単位にできる。チーム型の統括も用意されていて、/teamwork-preview は調整役のSentinelとProject Orchestratorが並列の作業トラックを束ね、読み取り専用のExplorers、実装役のWorkers、検証側のCritic・Challenger・Auditorに役割を分ける。ドキュメントは有料プラン向けと明記している20。

最も大きな分かれ目は、ノートPCを閉じたあとに動くか

並列そのものより差が出るのはここだ。

CursorのCloud Agentsは、ローカルマシンではなくクラウドの隔離VMでフル開発環境ごと動く。公式ドキュメントは「好きなだけ並列に実行でき、ローカルマシンがインターネットに接続されている必要はない」と書いている5。ただし前提として、リポジトリからクラウドエージェントを起動する前に、アカウントの管理者がソース管理を接続しておく必要がある。

Claude Code側はクラウドの入口が複数ある。ブラウザ・スマートフォン・デスクトップ・ターミナルからクラウドでセッションを動かすClaude Code in the cloudがあり、--cloud と --teleport でセッションを移せる21。projectsも、Claude がthreadと呼ばれるクラウドセッションを並列に起動し、マシンの電源が入っていなくても動き続けるべき作業に向く、と出典1の表に書かれている。加えてroutinesは、保存した構成(プロンプト、1つ以上のリポジトリ、コネクタ)を自動実行する仕組みで、Anthropic管理のクラウド基盤か、組織の自己ホスト環境で動くため「ノートPCを閉じていても動き続ける」と説明されている6。routinesはresearch previewで、Pro・Max・Team・Enterpriseで利用できる。

Antigravity 2.0は製品ページで「複数のローカルエージェントを並列に管理するコマンドセンター」と位置づけられており7、Remote Controlも自分のマシンで動いているデスクトップ/CLIのセッションにブラウザから接続する仕組みだ。一方でAntigravity SDKのページは、ローカルのPythonランタイムではなくマネージドのクラウドREST/gRPC APIが必要ならGemini APIのAntigravity Agentを見るよう案内している8。こちらは本サイトでも伝えたとおりリモートのサンドボックスで動くが、Antigravity 2.0やCLIの機能ではなくGemini API側の製品なので、同じ土俵で数えるときは主体を分けて考えたほうがよい。

確認する場所が、ツールの性格を決めている

Claude Codeは claude agents が「すべてのセッションと、その状態と、どれが自分の入力を待っているかを1画面に出す」と説明されている1。現在のセッションのバックグラウンドで動いているものは /tasks、dynamic workflowsは /workflows と、確認コマンドが系統ごとに分かれる。

Cursorは新しいdiffsビューで「Cursorを離れずに変更をレビューしてコミットし、PRを管理する」形に寄せている2。レビュー側の作り込みも厚く、Automationsの画面にはCursorが用意した3つのエージェント(PRのバグと品質を見るBugbot、脆弱性を見るSecurity Agents、レビュー担当への割り振りと低リスク変更の承認を行うPR Routing & Approval)が並ぶ9。このうちSecurity Agentsは、マージ前のPRを見るSecurity Reviewerと、コードベースそのものを走査するVulnerability Scannerの2種類からなり、9月23日に公開されたSecurity Reviewは前者にあたる23。同日公開のRolloutsは、この3つとは別のエージェントとして加わった。RolloutsとSecurity ReviewはTeamsとEnterpriseのプラン向けである。

Antigravityが置いているのはArtifactsという考え方だ。エージェントが作る構造化された成果物のことで、実装プランやコード差分からブラウザ録画まで幅がある。公式ドキュメントは「個々のツール呼び出しや手順を同期的に注意深く監視する必要はなく、代わりに節目で高レベルの成果物をレビューする」と、非同期の協働を前提に説明している10。デスクトップには専用のレビューペインがあり、CLIではキーボード操作のレビューパネルになる。

ただしAntigravityの確認面はArtifactsだけではない。Antigravity 2.0はサイドバーからGitネイティブのVCSレビューパネルを開けて、未コミットの差分、ブランチ上の差分、エージェントのツール編集に由来する差分を見分けられる。ファイル単位のstage・unstage・破棄に加えて、コミットメッセージの自動生成つきのコミットとpushもこのパネルから行える4。差分を見て自分でコミットする運用は3つとも成り立つ。

Claude CodeのPRレビューはCode Reviewで、GitHubのPRを解析して問題のある行にインラインコメントを付ける。研究プレビューかつTeamとEnterpriseの契約向けで、指摘は深刻度で分類されるがPRを承認もブロックもしないため既存のレビュー運用はそのまま残る、と明記されている11。他のプランでは /code-review でローカルの差分をレビューする形になる。

離席中に動かす器と、外から起動できるか

スケジュール実行は3つともある。Claude CodeのroutinesにはScheduled・API・GitHubの3種類のトリガーがあり、1つのroutineに複数付けられる6。CursorのAutomationsは「スケジュール、またはGitHub・GitLab・Slack・webhook・Linearなどからのイベントに応じて」クラウドエージェントをバックグラウンドで走らせるもので、スケジュールはプリセットかcron式で指定する9。AntigravityのScheduled tasksは、Gemini 3.8 Flashを使って離席中のエージェントへメッセージを送る仕組みで、時刻トリガーで繰り返し起動できる4。

差がはっきり出るのはチャットや課題管理から起動できるかだ。Cursorはクラウドエージェントの起動経路として、iOSアプリ、Web、デスクトップ、Slackの @cursor、GitHubのPRまたはissueへの @cursor コメント、BitbucketのPRへの同コメント、Linear、APIを並べている5。ProjectsのコーディネーターにもSubscriptionsがあり、Slackチャンネルの監視、スケジュール実行、PRの追従を指示すると、指示を待たずに検知した信号に反応する19。Claude CodeはSlack連携に加えてGitHub ActionsとGitLab CI、routinesのGitHubトリガーとAPIトリガーがある。ただしSlackは移行期で、TeamとEnterpriseのワークスペース向けには従来版を終了してClaude Tagに寄せる一方、ProとMaxでは従来版が設定経路として残るとされている12。

Antigravityについては、公式ドキュメントの一覧にSlack・GitHub・Linearとの連携ページを確認できなかった。Remote Controlはブラウザから自分のローカルセッションを操作するもので、チャットや課題管理からの起動とは別の仕組みである13。

API・SDKは3つとも用意がある。Claude CodeはAgent SDKで、CLIの claude -p に加えてPythonとTypeScriptのパッケージがある14。Cursorは @cursor/sdk(TypeScript)と cursor-sdk(Python)の2つを用意し、どちらも「IDE、CLI、Webアプリで動くのと同じエージェント」を呼び出せるとしている。TypeScript版はローカルとクラウドの両ランタイムを1つのインターフェースで包むと説明されており15、Python版のページは他言語向けにSDK Bridgeを案内している22。AntigravityのSDKはPython(pip install google-antigravity)で8、CLIにはheadlessモードがあり、-p(別名 --print / --prompt)にプロンプトを渡すと1回実行して終了する24。

選ぶときに見る4点

ここまでを踏まえると、比較の観点は次の4つに絞れる。

  1. クラウドで動かす必要があるか。ノートPCを閉じても進めたいなら、CursorのCloud AgentsとProjects、Claude Codeのクラウドセッション・projects・routinesが直接の答えになる。Antigravity 2.0は製品ページが手元のマシンを前提に説明しており、クラウドで動かすならGemini API側の製品を使うことになる。
  2. チャットや課題管理から起動したいか。CursorはCloud Agentsの起動経路とProjectsのSubscriptionsの両方があり、Claude CodeはSlackとCI、routinesのトリガーがある。Antigravityはこの経路を公式ドキュメントで確認できなかった。
  3. 確認の粒度をどこに置きたいか。差分を見て自分でコミットする運用はCursorのdiffsビューでもAntigravity 2.0のVCSパネルでも成り立つ。分かれるのはその手前で、節目の成果物単位で見たいならAntigravityのArtifacts、セッション単位の状態を一覧したいならClaude Codeのagent viewが近い。
  4. 状態表記を確認したか。今回挙げた機能のうち、Claude Codeのagent view・routines・Code Reviewはresearch preview、agent teamsは実験的機能で既定無効、projectsはProとMaxでのpublic beta、AntigravityのScheduled tasksは導入を告知する書き方になっている。本番の運用に組み込む前に、各社ドキュメントで現在の状態を見ておいたほうがよい。

料金とプランの横並びはAIコーディングツール料金比較2026にまとめてあるが、同記事はClaude Code・Cursor・Copilot・Cline・Devin・Gemini CLIが対象で、Antigravityを含まない。Antigravityの公式pricingページは、個人向けを月額0ドル(サブスクリプションなしで使える枠、週単位の基本的なレート制限付き)とし、その上にGoogle AI Pro、Google AI Ultra、Google Cloud経由のOrganization planを置いている16。

エージェントをどう動かすかは、CursorのコーディネーターエージェントやAntigravityの公開時の設計を見ても分かるとおり、この1年で各社が最も手を入れてきた領域だ。エディタの使い心地より先に、自分のチームがどこで結果を確認したいのかを決めるほうが、選定の助けになる。

Sources

  1. Run agents in parallel - Anthropic公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  2. Agents Window - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  3. Custom subagents - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  4. Antigravity 2.0 features - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  5. Cloud Agents - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  6. Automate work with routines - Anthropic公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  7. Google Antigravity - Google Antigravity公式サイト(確認日: 2026年9月25日)
  8. Google Antigravity SDK - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  9. Automations - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  10. Artifacts - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  11. Code Review - Anthropic公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  12. Claude Code in Slack - Anthropic公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  13. Remote Control - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  14. Run Claude Code programmatically - Anthropic公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  15. TypeScript SDK - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  16. Pricing - Google Antigravity公式サイト(確認日: 2026年9月25日)
  17. Worktrees - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  18. Subagents - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  19. Projects - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  20. Teamwork agent teams - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  21. Use Claude Code in the cloud - Anthropic公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  22. Python SDK - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月25日)
  23. Security Agents - Cursor公式ドキュメント(確認日: 2026年9月26日)
  24. Headless mode - Google Antigravity公式ドキュメント(確認日: 2026年9月26日)

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