国連ITU、「AI for Good Global Commission」を発足 - Benioff氏・Kagame大統領が共同議長、テック首脳が名を連ねる

ITUが7月2日、AIの信頼強化とアクセス拡大を目指す「AI for Good Global Commission」の発足を発表。創設メンバー44名にはNVIDIAのHuang氏、AmazonのJassy氏、MicrosoftのSmith氏らが参加。初会合は7月7日からのAI for Good Global Summitで開催される。

国連ITU、「AI for Good Global Commission」を発足 - Benioff氏・Kagame大統領が共同議長、テック首脳が名を連ねる

国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)は2026年7月2日、AIの信頼強化・アクセス拡大・社会課題解決への活用を目的とする「AI for Good Global Commission」の発足をジュネーブで発表しました1。共同議長にはルワンダのPaul Kagame大統領とSalesforceのMarc Benioff会長兼CEOが就任し、ITU事務総局長のDoreen Bogdan-Martin氏が副議長を務めます1

創設メンバーは国家指導者・企業CEO・国連機関トップを含む44名で1、AI業界の主要企業トップが直接名を連ねる国際的なガバナンス枠組みとして注目されます。初会合は7月7日から10日にジュネーブで開かれるAI for Good Global Summit 2026の期間中に開催されます1

テック企業トップが直接参加する顔ぶれ

創設メンバーには、Andy Jassy氏(Amazon CEO)、Brad Smith氏(Microsoftプレジデント)、Jensen Huang氏(NVIDIA創設者兼CEO)、Jack Clark氏(Anthropic共同創設者)、Aidan Gomez氏(Cohere共同創設者)といったAI業界の中心人物が含まれます2

参加企業・機関の幅も広く、Salesforce、Microsoft、Google、Amazon、NVIDIA、Qualcomm、Accenture、Anthropic、Cohereといった米国のテック・AI企業に加え、MTN Group、Grab、Vodafone、Orange、ZTEなど各地域の通信・テック企業、さらにアフリカ連合、UNESCO、WTO、WIPOといった国際機関が名を連ねています3。米国の大手企業だけでなく、アフリカ・アジア・欧州の企業と国際機関を組み合わせた構成です。

目的はデジタル格差の解消と「信頼」

委員会の目的は、AIへの信頼を強化し、アクセスを拡大し、実世界の課題解決に向けた実践的な道筋を定義することとされています1。特に重点となるのがデジタル格差です。世界では約22億人が依然としてインターネットを利用できておらず、AIの恩恵から切り離されています13。委員会は、開発途上国がグローバルなAIアジェンダに参加できるようにすることを重要課題に掲げています3

共同議長のKagame大統領は「テクノロジーは善の力であるべき」と述べ、Benioff氏は「AIの約束は信頼の基盤の上に築かれる」と信頼を軸に据える姿勢を示しました1。Bogdan-Martin事務総局長は「単一の組織ではAIを人類全体のために機能させることはできない」と、複数のステークホルダーによる協調の必要性を強調しています1

ジュネーブに集中する「AIガバナンス週間」

今回の発足は、ジュネーブで国際的なAIガバナンスの議論が集中するタイミングに合わせたものです。7月6日から7日には、国連総会の決議(2025年8月)に基づく初の「Global Dialogue on AI Governance」がジュネーブのPalexpoで開催されます4。これは193の国連加盟国と民間セクター・市民社会・学術界が同じテーブルにつく、国連総会主導では初のAIガバナンス・プラットフォームで、第2回セッションは2027年5月にニューヨークで予定されています4

つまり7月上旬のジュネーブでは、全加盟国が参加する政府間対話(Global Dialogue)と、企業トップを中心とする少人数の委員会(AI for Good Global Commission)という、性格の異なる2つの枠組みが相次いで始動することになります。

「ビッグテック主導」への批判も

一方で、委員会の構成には批判もあります。米メディアのCommon Dreamsは、委員会がビッグテック幹部で占められている点を指摘し、大手テック企業への世論の信頼が限定的であることや、政治家とテック企業の近い関係への懸念を報じています2。AIガバナンスの議論に当事者である企業トップが直接参加することは、実効性の面では強みになり得る一方、利益相反への目配りが問われることになります。

AI規制・ガバナンスをめぐっては、米国のAI安全保障大統領令Google DeepMindらによるマルチエージェント安全性研究への拠出AI企業トップによる合成DNAスクリーニング義務化の要請など、政府・企業それぞれの取り組みが相次いでいます。今回の委員会は、そこに「国連機関×企業トップ」という国際的な枠組みを加えるもので、7月の初会合でどのような具体的アジェンダが示されるかが次の注目点です。

委員会の詳細はITUのプレスリリースで、並行して開催されるGlobal Dialogue on AI Governanceの概要は国連の公式ページで確認できます。

Sources

  1. Global leaders launch AI for Good Global Commission to expand access, strengthen trust and accelerate impact - ITU公式プレスリリース
  2. UN Creates ‘AI for Good’ Commission—Full of Big Tech Execs - Common Dreams
  3. Kagame, Benioff and ITU Launch AI for Good Global Commission - TechAfrica News
  4. Global Dialogue on AI Governance - 国連公式ページ

最新のAIニュースを毎日お届けしています。

RSSで購読する 更新をいち早くチェックできます。

他のキーワードで探す →