OpenAI、利用ポリシーを11月20日に改定 - モデルへの直接アクセスを提供する仲介サービスは事前の審査・承認が必要に

OpenAI、利用ポリシーを11月20日に改定 - モデルへの直接アクセスを提供する仲介サービスは事前の審査・承認が必要に

OpenAIが2026年10月21日、11月20日発効の利用ポリシー改定を公表した。モデルルーターやAIゲートウェイのように第三者へOpenAIモデルへの直接アクセスを提供するサービスに、事前の審査と承認を求める。出力を代替モデルの学習素材に使うことを禁じる節も新設した。

OpenAIは2026年10月21日、利用ポリシー(Usage Policies)の改定版を公表した。発効は11月20日。改定版では、第三者がOpenAIのモデルに直接アクセスできるようにする「モデルアクセス仲介」のプラットフォームやサービスに、提供前のOpenAIによる審査と承認を義務づける2。同日のブログでOpenAIは、この対象の例としてモデルルーターやAIゲートウェイを挙げている1。

改定の柱はもう一つある。OpenAIのモデルやその出力を、OpenAIのモデル・サービスの代替を意図したモデルの学習素材として作る・選ぶ・提供することを禁じる節が新設された。どちらも、2025年10月29日に発効した現行の版3にはなかった項目だ。ゲートウェイ事業者と、評価データや学習データを作る現場には確認が要る変更である。

仲介サービスに事前承認、自社アプリへの組み込みは対象外

改定版の該当箇所は「Providing access to our models」という項目だ。第三者にOpenAIモデルへの直接アクセスを提供するモデルアクセス仲介プラットフォーム、またはその他のサービスを運営する場合は、OpenAIの事前の審査と承認を得なければならないと定めている2。

同じ項目は適用範囲の線も引いている。アプリケーションが自分の機能を実現するためにOpenAIのモデルを組み込んでいる、というだけではこの要件は適用されない。条文が対象にしているのは、第三者がOpenAIのモデルに直接アクセスできるようにするサービスである。

この項目は、改定版で新しく設けられた「OpenAI-approved use」という節の中に例として置かれている。同節は、通常は禁止される一部の利用について、OpenAIが個別のパートナーにケースバイケースで例外を認めることがあり、その際はパートナー、用途、安全対策、コンプライアンスへの取り組みを審査すると説明する。承認には書面の条件が必要になる場合があり、承認は特定のパートナー・用途・条件に限って有効になる2。

ブログ記事1は背景として、ここ数か月、モデルを提供するサービス間で安全ポリシーをそろえる作業を顧客・パートナーと進めてきたと説明している。そのポリシーはOpenAIに直接アクセスする場合にも、モデルをホストするパートナーや再販パートナーを経由する場合にも適用され、パートナーにはOpenAIの安全対策と一貫した安全対策の維持、違反の可能性の調査、懸念が確認された際の措置、執行での連携を求めているという。10月21日にはOpenAIのモデルをGoogle Cloudのmodel gardenで提供する計画も発表されており、OpenAIのモデルに届く経路は増えている。

出力を代替モデルの学習に使うことを禁じる節

もう一つの柱が「Training and developing models」という新しい節だ。OpenAIはこの節の冒頭で、OpenAIの出力で別のモデルを学習させると、安全対策を伴わないまま能力だけが移りうると理由を述べている。そのうえで、OpenAIのモデルやその出力を使って、OpenAIのモデルやサービスの代替を意図したモデル向けに、学習素材やシグナルを生成・準備・選別・提供してはならないとしている2。禁止される行為として、次の3種類を挙げる。

  • 学習データ、学習タスク、評価基準(ルーブリック)、強化学習環境を作る・準備する
  • ラベル、スコア、順位づけ、選好、報酬、修正など、学習に使われるフィードバックを与える
  • 学習データ、タスク、軌跡を選ぶ・ふるい分ける・検証する

適用範囲は広く取られている。作業を自分で行う場合だけでなく、他者のために行う場合や代理人を通じて行う場合にも適用され、結果としてできるモデルを自分で学習しなくても対象になる。製品の利用や評価で得た出力が、後からそうした学習目的に使われたり提供されたりする場合も含む。あわせて、不正アクセスやリバースエンジニアリング、安全対策の回避によって保護された推論を引き出そうとすることも禁じている2。

一方で、この範囲の中であれば、研究、ソフトウェア開発、モデルの評価とベンチマーク、製品開発にOpenAIのモデルを使えることも明記された。OpenAIとの契約で明示的に認められた利用(Services Agreementの「Permitted Exception」を含む)は、これらの制限で禁じられない2。

現行の版の利用ポリシーには学習に関する節がないが、OpenAI自身は改定版の変更履歴でこの点を、他のモデルの学習に使うことに関する制限を「明確化」したと説明している2。利用規約や契約など、利用ポリシー以外の文書に同様の定めがあるかどうかは、各社が自社の契約で確認する必要がある。

競合モデルの学習に自社モデルの出力が使われる、いわゆる蒸留への対策は、他社でも前面に出てきている。Anthropicは9月の脅威レポートで、中国拠点の7つのラボによる蒸留攻撃を特定したと報告した(自サイトの記事)。10月には蒸留対策の効果と副作用も公表している。

高リスク用途、未成年、国家安全保障の書き換え

改定版と現行の版を突き合わせると、上記の2点以外にも書き換えがある23。

  • 高リスク用途: 人間の確認なしに自動化してはならない対象の表現が、「高リスクの決定」から「高リスクの行為」に改められた。改定版は、人の権利、安全、不可欠なサービスへのアクセスなどに重大な影響を与える行為、決定、取引、申請などを含むと定義し、重要インフラ、教育、住宅、雇用、金融・与信、保険、法律、医療、移住などの分野を挙げる
  • 免許の要る助言: 現行の版は免許の要る個別の助言の「提供」を対象にしていたが、改定版は、免許を持つ専門家の適切な関与なしに、他者にそうした助言を行うAIツールを「構築・提供」することを対象にした。AI自体が専門資格や認可を持つと述べたり示唆したりすることも禁じている
  • 未成年: 「Keep minors safe」の節が「Keep young people safe」になり、児童への性的虐待・搾取と、10代の利用の2項に分けて禁止事項を並べ直した
  • 国家安全保障: 審査と承認なしに使えない用途に、国家安全保障と諜報に加えて法執行が明記された

変更履歴によれば、改定版は既存の国家安全保障に関する原則を取り込み、国家安全保障・法執行の用途とモデルアクセス仲介について承認要件を定めたものだ2。

申請方法や猶予は示されていない

今回の公表で書かれていないことも多い。審査と承認の申請方法、審査にかかる期間、承認済みサービスの一覧は、ブログ記事にも改定版の利用ポリシーにも載っていない12。11月20日の時点で承認を得ていない仲介サービスがどう扱われるのか、猶予期間があるのかも示されていない。

既存のサービスが対象かどうかも、個別には名指しされていない。自サイトではOpenRouterのようなモデルのゲートウェイ層を取り上げたことがあるが、そうしたサービスがすでに承認を得ているのか、これから手続きに入るのかは今回の資料からは分からない。

ブログ記事1は、ほかの取り組みにも触れている。顧客は、エンドユーザーや乗っ取られたアカウント、漏えいしたAPIキーを通じた悪用に直面しうるとし、顧客が提供する「SafetyIDs」によって、OpenAIが利用者の身元を知らずに調査の際に個々のエンドユーザーを区別できるようにする仕組みの導入を、顧客と進めているという。アクセスを制限した場合も、行動や確約、安全対策に意味のある変化があれば見直すとしている。

発効日までに確認しておきたいこと

実務で影響を受けるのは主に次の3者だと考えられる。

1つ目は、ルーターやゲートウェイの形でOpenAIのモデルを他社や外部の利用者に提供している事業者だ。11月20日以降は事前の審査と承認が要件になるため、手続きをOpenAIに確認しておく必要がある。

2つ目は、こうしたゲートウェイ経由でOpenAIのモデルを使っている企業である。利用している経路が承認を得たものかどうかは、今のところ公開情報では確かめられない。契約先の事業者に、改定への対応状況を問い合わせておくのが確実だろう。

3つ目は、OpenAIのモデルで評価データ、ルーブリック、ラベル、学習データを作っている現場だ。成果物が自社や他社の「OpenAIの代替を意図したモデル」の学習に回る場合、自分で学習しなくても違反になりうる書き方になっている。評価やベンチマークそのものは認められているため、作ったデータが最終的にどこで使われるかを、受託契約の段階で確認しておくとよい。

Sources

  1. Broad access through consistent standards - OpenAI公式ブログ(2026年10月21日)
  2. Usage policies - OpenAI利用ポリシー(改定版、2026年11月20日発効)
  3. Usage policies(2025年10月29日版) - OpenAI利用ポリシー(現行の版)

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