マルチモーダルAIとは?テキスト・画像・音声をまとめて扱う仕組み

画像を見せて質問したり音声で会話したり、AIが文字以外も扱えるようになった背景にある「マルチモーダルAI」とは何か。複数の種類のデータをまとめて扱う仕組み、シングルモーダルとの違い、活用事例を、AnthropicやGoogleの公式情報をもとに非専門家向けに解説します。

マルチモーダルAIとは?テキスト・画像・音声をまとめて扱う仕組み

スマホでAIに写真を見せて「これは何?」と尋ねたり、音声で会話したり——いまや生成AIは文字だけのやり取りにとどまりません。テキストに加えて画像・音声・動画などを扱えるこうしたAIを マルチモーダルAI と呼びます。

「モーダル(モダリティ)」とは、データの種類・様式のことです。テキスト、画像、音声、動画はそれぞれ別の「モダリティ」で、これらを複数まとめて扱えるのがマルチモーダルAIです。この記事では、マルチモーダルAIとは何か、どうやって異なる種類のデータをまとめて理解しているのか、そして何に使われているのかを、公式情報をもとに非専門家向けに解説します。前提となるLLM(大規模言語モデル)の仕組みもあわせて読むと理解が深まります。

マルチモーダルAIとは:複数の種類のデータをまとめて扱う

日立ソリューションズ・クリエイトの解説は、マルチモーダルAIを「テキストや画像、音声、センサーなど、様々な種類のデータ(モダリティ)を組み合わせて学習できるAIのこと」3と定義しています。

これと対になるのが「シングルモーダルAI」です。同解説は「シングルモーダルAIは1つのデータのみを処理するAIであるのに対し、マルチモーダルAIは複数のデータを異なる角度から学習できるため、より複雑な理解が可能」3だと説明しています。たとえば「文章だけを読むAI」「画像だけを分類するAI」はシングルモーダルですが、マルチモーダルAIは写真とその説明文を同時に見て、両者を結びつけて理解できます。

実際、私たちが使うAIにもこの能力は組み込まれています。Anthropicの公式ドキュメントは、Claudeについて「視覚能力により画像を理解・分析でき、マルチモーダルな対話の可能性を開く」1と述べ、さらに「1回のリクエストに複数の画像を含めることができ、Claudeは応答を作る際にそれらをまとめて分析する。これは画像同士を比較・対照するのに役立つ」1と説明しています。GoogleもGeminiを「マルチモーダル」なモデルと位置づけており2、別系統のモデルではテキスト・画像・動画・音声・PDFを統一的に扱う例も示されています2

どう動くか:異なるデータを「共通の土俵」に乗せる

種類の違うデータを、AIはどうやってまとめて理解するのでしょうか。鍵は「いったん共通の形式に変換する」ことにあります。

日立ソリューションズ・クリエイトの解説は、その処理の流れを「各データの特徴量を段階的に抽出(エンコード)し、マッピングされた結果とテキストの特徴量をLLMに与え、処理された情報を変換(デコード)して生成する」3と説明しています。かみ砕くと、画像なら画像、音声なら音声をそれぞれ専用の仕組みで「特徴を表す数値」に変換し、それを共通の土俵に乗せてLLMで処理する、という流れです。

この「異なるデータを数値に変換して共通の空間で扱う」部分は、当サイトで解説したエンベディング(埋め込み)の考え方そのものです。エンベディングは本来テキストの意味をベクトル化する技術ですが、同じ発想を画像や音声にも広げることで、種類の違うデータを「意味の近さ」で結びつけられるようになります。テキストの「犬」という言葉と、犬が写った画像が、近い意味として扱える——これがマルチモーダルAIの土台です。

何ができるか:現実の課題に近づく

複数のモダリティを扱えると、AIの応用範囲は大きく広がります。

身近なところでは、先のClaudeのように複数の画像を見比べて説明させたり、図表を含む資料を読み解かせたりできます1。業務での活用も進んでいます。日立ソリューションズ・クリエイトの解説は、活用が期待される分野として医療・小売・カスタマーサービス・教育などを挙げています3。たとえば医療では、画像と患者の記録という別々のデータを統合できれば、画像だけ・記録だけよりも精度の高い判断につなげられると考えられます。

こうした強みの背景には、人間の情報の捉え方との近さがあります。私たちは視覚・聴覚・言語を同時に使って世界を理解しています。マルチモーダルAIは、複数の種類のデータを組み合わせることで、単一の情報だけを見るより現実に即した理解に近づこうとしているといえます。

代表的なモデルとしては、OpenAIのGPT-4oやGoogle DeepMindのGeminiが挙げられます3。これらが画像も音声も扱えるのは、特別な追加機能というより、生成AIが「文字だけの存在」から「複数の感覚を持つ存在」へと進化してきた結果です。AIを業務に取り入れる際、扱えるのはテキストだけではない——この前提を押さえておくと、写真・音声・図表といった現場のデータをAIにどう活かせるかの発想が広がります。

Sources

  1. Vision - Anthropic公式ドキュメント(Claudeの画像理解・マルチモーダル対話)
  2. Gemini models - Google公式ドキュメント(Geminiのマルチモーダル対応)
  3. マルチモーダルAIとは? 仕組みや活用事例などを解説 - 日立ソリューションズ・クリエイトによる日本語解説

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