Meta、上位モデル「Muse Wonder」を公開 - API単価は入力$4・出力$20でOpus 5.5と同じ数字、上位版FullはMuse Codeの上位2プランのみ
Metaが2026年10月12日、Muse WonderとMuse Wonder Fullを発表した。WonderはMeta Model APIで入力100万トークン$4・出力$20、コンテキストは約100万トークンのプレビュー提供。上位版FullはAPIでは使えず、Muse CodeのPower Usage・Maximum Usageプランに限られる。APIでは学習利用と引き換えの割安なContributor modeは用意されない。
Meta は2026年10月12日、新しいモデル Muse Wonder と、その上位版 Muse Wonder Full を発表した1。同社は両モデルを「最も高性能なモデル」と位置づけ、個人と業務のエージェントタスクで最先端の性能を出すと主張している。Muse Wonder は開発者向けの Meta Model API と、ターミナル型のコーディングエージェント Muse Code で当日から使える。Muse Wonder Full は Muse Code の購読者向けに限られる。
API での単価は、100万トークンあたり入力$4.00・キャッシュ済み入力$0.20・出力$20.00 である3。これまで Meta Model API で使えた Muse Spark の標準価格(入力$1.25・出力$4.25)に比べ、入力は3.2倍、出力は約4.7倍になる。
API で使えるのは Wonder だけ
2つのモデルは、使える場所がはっきり分かれている。開発者向けドキュメントの提供表をまとめると次のとおりである2。
| モデル | Meta Model API(従量課金) | Muse Code |
|---|---|---|
Muse Wonder(muse-wonder-1.0) | 利用可(Standard mode のみ) | 従量課金と全プラン |
| Muse Wonder Full | 利用不可 | Power Usage・Maximum Usage プラン |
ドキュメントは、Muse Wonder で reasoning effort を最大の “max” にしても Full には切り替わらないと明記している。Full を使う方法は、Muse Code のサブスクリプションで上位2プランのどちらかを選ぶことだけになる。Muse Code のプランは Everyday Usage・High Usage・Power Usage・Maximum Usage の4つで、サブスクリプションは Muse Code CLI 経由でしか使えない5。各プランの月額はこのページには載っていない。
Muse Wonder の仕様は、入力がテキスト・画像・動画・音声・PDF、出力がテキスト、コンテキストウィンドウが1,048,576トークンで、reasoning effort は “minimal” から “max” まで選べる2。現時点ではプレビューの扱いである。エンドポイントは Responses・Chat Completions・Messages の3種類で、Muse Spark と同じリクエストを同じエンドポイントで受けるため、ドキュメントは「切り替えはモデル ID の変更で済む」と説明している。
単価は Claude Opus 5.5 と同じ数字
Muse Wonder の単価を他社と並べると、Anthropic の Claude Opus 5.5 と数字がそろっている。Anthropic の料金ページでは、Opus 5.5 は入力$4・キャッシュヒット$0.20・出力$20(いずれも100万トークンあたり)である6。
| 100万トークンあたり | Muse Wonder | Claude Opus 5.5 | Muse Spark(Standard) |
|---|---|---|---|
| 入力 | $4.00 | $4 | $1.25 |
| キャッシュ済み入力 | $0.20 | $0.20 | $0.15 |
| 出力 | $20.00 | $20 | $4.25 |
ただし課金の細目は同じではない。Claude の料金表にはキャッシュ書き込みの単価(5分で$5、1時間で$8)が別に載っているが、Meta の料金ページにはキャッシュ書き込みの料金の記載がない。Meta 側は、コンテキストが空に近くても満杯に近くても単価が変わらない(長文の割増がない)こと、Web 検索グラウンディングに1,000クエリあたり$2.50が別途かかることを明記している3。レート制限はチーム単位で、muse-wonder-1.0 は毎分3,000リクエスト・400万トークンと、muse-spark-1.3 と同じ枠になっている。
単価が同じ水準にある以上、選定の比較軸は単価以外に移ると考えられる。
Meta 自身の表でも、首位は項目ごとに入れ替わる
Meta はモデルページに、Muse Wonder Full・Muse Wonder・Claude Fable 5.1・GPT-6 Astra・Claude Opus 5.5 を14項目で並べた比較表を載せている4。以下はいずれも Meta の発表による数値である。
Meta がブログで「Active Memory」として打ち出している記憶の項目では、MemoryBench で Muse Wonder が85.6、Muse Wonder Full が85.5と、Fable 5.1(79.0)・GPT-6 Astra(81.4)・Opus 5.5(81.5)を上回っている。長時間のソフトウェア開発を測る SWE-Marathon でも、Wonder Full の57.5(xhigh での値)、Wonder の53.1は、他の3モデル(42.5〜46.3)より高い。モデルページは Full について、DeepSWE と SWE-Marathon を含むエージェント・コーディングのベンチマークで首位だとしている。
一方、同じ表には Muse Wonder が届いていない項目もある。
- Terminal-Bench 4.0-AA: Opus 5.5 が59.6、GPT-6 Astra が59.1で、Wonder は52.0
- ProgramBench: Opus 5.5 が70.5で、Wonder Full は59.0、Wonder は50.0
- Artificial Analysis Index: Opus 5.5 が58で、Wonder Full は56、Wonder は52
API で使えるのは Full ではなく Wonder のほうなので、比較表を見るときは列を取り違えないよう注意が要る。表には Google の Gemini 4 Argon の列がなく、The Verge も Argon との比較は不明だと指摘している8。
API は「学習に使わない」側だけ
データの扱いでも、API とサブスクリプションで条件が分かれる。
Meta Model API では、Muse Spark に「Contributor mode」がある。送ったプロンプトやコード、受け取った応答を Meta が将来のモデルの学習に使うことを許す代わりに、単価が大幅に下がる仕組みで、Muse Spark なら入力$0.10・出力$0.20 になる3。この階層には9月に最新世代の Muse Spark 1.3 も並んだ。だが Muse Wonder には、API の Contributor mode が用意されていない。API で Wonder を使う場合は Standard mode だけで、ドキュメントによれば送信内容と応答は Meta のモデルの学習に使われない2。
Muse Code のサブスクリプションは逆で、既定で Contributor mode がオンになっている5。この状態ではプランの利用枠が増える代わりに、内容が学習に使われる。設定でいつでもオフにできると書かれている。Wonder と Wonder Full は、それを含むプランであれば Standard・Contributor のどちらのモードでも使える2。
つまり、同じ Muse Wonder でも、API キーから呼ぶか Muse Code の購読で使うかで、既定のデータ条件が反対になる。社内で利用を検討する場合は、どちらの経路で使うのかを先に決めておく必要がある。
Spark から3か月で上位モデルへ
Meta は7月にMuse Spark 1.1 とともに Meta Model API を開始し、8月にターミナル型のコーディングエージェント Muse Code を Muse Spark 1.2 と同時にベータ公開した。9月にはパーソナル AI エージェント Muse を米国で提供開始している。
今回の発表について、Meta はブログで、14か月前に AI の取り組みを根本から作り直し始めたと振り返り、Muse Wonder はギガワット級の Prometheus データセンターで学習したと書いている1。TechCrunch は、Alexandr Wang が2025年8月に Meta の AI 体制を再編して以来、初めてのフロンティアモデルの公開だと報じた7。同紙は、Muse Spark が低遅延の軽量モデルを狙ったものだったのに対し、Wonder はより大きく、より高性能とされるモデルだと位置づけている。
Meta の使い分けの案内では、Wonder はトークン単価より能力が重要な長時間・複雑な作業(複数ファイルにまたがるコーディング、数時間のエージェント実行、サブエージェントの統括)、Spark は大量・低遅延・コスト重視の作業(サブエージェントのタスク、分類など)に向くとされている2。
使う前に確かめること
Muse Wonder を評価する場合、次の点は現時点で未確定である。
- プレビュー段階: 正式提供の時期は示されていない
- 提供地域: ドキュメントはモデルの提供状況が国によって異なるとしている2。日本から使えるかどうかは、ドキュメントからは確認できない
- 安全性レポート: Meta は CBRN とサイバーの悪用に対して同社で最も強い安全策を備えたと主張しているが、追加の安全性評価を含む完全なレポートは「近日公開」としている1
- Muse への搭載: Muse Wonder は近くエージェント Muse にも使われ、購読者から順に展開される予定だが、The Verge によれば Meta は具体的な内容も時期も示していない8
単価が Opus 5.5 と同じ水準になったことで、Muse Wonder を試すかどうかは、記憶や長時間の開発作業といった Meta が強いと主張する用途に自社の作業が当てはまるか、そして API とサブスクリプションのどちらのデータ条件で使うか、の2点で決まると考えられる。
Sources
- Muse Wonder - Meta AI Research 公式ブログ(2026年10月12日)
- Models - Meta Model API - Meta 開発者向けドキュメント
- Pricing and rate limits - Meta Model API - Meta 開発者向けドキュメント(料金とレート制限)
- Muse Wonder - Meta 開発者サイトのモデルページ(ベンチマーク表)
- Subscriptions - Muse Code - Meta 開発者向けドキュメント(Muse Code のプラン)
- Pricing - Claude Platform - Anthropic 公式料金ページ
- Meta releases its first frontier model, Muse Wonder - TechCrunch(2026年10月12日)
- Meta has some Wonder Full new AI models - The Verge(2026年10月12日)
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