LG AI Researchが2026年7月31日、大規模言語モデル「K-EXAONE 2.0」のウェイトをHugging Faceで公開した12。ライセンスはApache License 2.0で、条件を満たせば商用利用ができる1。
総パラメータは750B、1トークンあたりのアクティブパラメータは37Bで、アーキテクチャはMoE(Mixture of Experts)である1。7月にMoonshot AIがKimi K3のフルウェイトを公開し、AlibabaがQwen 3.8のウェイト公開を予告した流れの中に、韓国発のモデルが加わった形になる。
モデルカードに載っている構成
公開されているモデルカードは、構成をかなり細かく開示している1。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 総パラメータ / アクティブ | 750B / 37B |
| レイヤー | 78層(先頭2層がDense、76層がSparse)+MTP層1つ |
| エキスパート | 共有1・総数256・活性化8(エキスパート次元2,048) |
| hidden dimension | 6,144 |
| 語彙サイズ | 153,600 |
| コンテキスト長 | 262,144トークン |
| 知識カットオフ | 2025年第2四半期 |
アテンションは、1層のGlobal(NoPE)と1層の4,096 SWAを置いたうえで、[3層の128 SWA + 1層のGlobal]というブロックを19回繰り返す構成で、Qヘッド64・KVヘッド8、ヘッド次元は128となっている1。MoEは全パラメータのうち一部だけを各トークンで使う仕組みで、750Bという規模に対して推論時の計算量を37B相当に抑えるのがこの構成の狙いになる。
対応言語は韓国語・英語・スペイン語・ドイツ語・日本語・ベトナム語・フランス語・イタリア語・ポーランド語・ポルトガル語の10種1。報道によれば、前世代からフランス語・イタリア語・ポルトガル語・ポーランド語が追加された3。投機的デコーディングに対応し、約3〜5倍の高速化が可能だともモデルカードに記載されている1。
公開されているのは1種類ではなく、標準版に加えてFP8版、NVFP4版、DSpark版の計4バリアントがHugging Faceのorgに並んでいる2。量子化版が同時に出ていることは、自前のGPUで動かす側にとっては実際に試せるかどうかを左右する。
公表されているスコアと、その読み方
モデルカードには各種ベンチマークの値が掲載されている1。MMLU-Proが83.5、GPQA-Diamondが82.2、SWE Bench Verifiedが68.2、長文脈のOpenAI-MRCRが94.4、韓国語のKMMLU-Proが69.1、多言語のMMMLUが86.6、安全性のKGC-Safetyが99.8となっている1。
報道では、24のベンチマーク・9カテゴリの平均が70.1で、前世代から10%超の改善だと伝えられている3。前世代のK-EXAONE 1.0は2,360億パラメータで、2.0はその3倍を超える規模になる3。長文脈の比較では、OpenAI-MRCRでK-EXAONE 2.0が94.4に対し中国のGLM-5.1が71.5、韓国語長文のKo-LongBenchで89.6に対しGLM-5.1が83.6だったと報じられている3。
いずれも公表値であり、第三者による再現検証が済んだ数値ではない。ベンチマークのスコアが何を測っているかという前提を踏まえると、比較対象と条件が揃っているかは、実際に使う前に自分のワークロードで確かめるほうが早い。ウェイトが公開されているモデルの利点は、まさにそれができる点にある。
「同じ階級で戦える」という位置づけ
LG AI Researchの共同責任者Lim Woo-hyung氏は、「グローバルのフロンティアと同じ階級で競争できる能力を確保した」と述べたと報じられている3。比較対象として挙げられているのは、中国のGLM-5.1、Qwen3.5、DeepSeek V4 Pro Maxといったモデルである3。
Korea Heraldは、K-EXAONE 2.0を韓国政府主導で自国の基盤モデルを構築する事業の下で開発された2つ目のモデルだと伝えている3。一方、Seoul Economic Dailyは同じ発表について、政府資金や正式なソブリンAIプロジェクトとしては明確に位置づけていない4。報道の間で扱いが揃っていないため、事業との関係については断定できない。同社は来週に業界特化モデルを公開する計画があるとも報じられている4。
商用利用が認められるライセンスで750Bクラスのウェイトが1つ増えたこと自体は、オンプレミスや自社クラウドでモデルを動かす選択肢を検討している場合の実務的な変化にあたる。Apache 2.0の条件と、4バリアントのどれが自社の環境に載るかは、Hugging Face上で今すぐ確認できる12。
Sources
- LGAI-EXAONE/K-EXAONE-2.0-750B-A37B - LG AI Research公式モデルカード(Hugging Face)
- LGAI-EXAONE - 公開されている4バリアントの一覧
- LG unveils Korea’s largest AI model with 750 billion parameters - The Korea Herald(Jo He-rim、2026年7月31日)
- LG Releases Korea’s Largest AI Model ‘K-EXAONE 2.0’ as Open Source - Seoul Economic Daily(2026年8月1日)