Akamai、Anthropicと7年116億ドルのクラウド契約 - CPUワークロード向け、最大約5%のワラント付き

Akamai、Anthropicと7年116億ドルのクラウド契約 - CPUワークロード向け、最大約5%のワラント付き

AkamaiがAnthropicとの契約拡大を発表。7年で総額約116億ドルのコミットメントで、用途はGPUではなくCPUワークロード。Akamaiは顧客であるAnthropicに発行済株式の最大約5%相当のワラントを発行した。契約の中身、条件付きである点、AIインフラ調達の文脈を整理する。

Akamai Technologiesは2026年9月24日、Anthropicとのクラウド契約を大幅に拡大したと発表した1。同社がSECに提出したForm 8-Kによれば、両社は9月18日に、2026年5月5日付の既存のMaster Services Agreement(MSA)の下でProject Plan 2とProject Plan 3を締結し、AnthropicはこれらのProject Planの下で総額およそ116億ドルの支払いをコミットした2。各Project Planの初期期間は、それぞれのサービス開始日から起算して7年間となる。

発表には、金額のほかに2つの特徴がある。ひとつは用途で、Akamaiはこの契約を「AnthropicのCPUワークロードの伸びを大規模に支えるもの」と説明している1。もうひとつは対価の受け取り方で、Akamaiはクラウドの供給者でありながら、顧客であるAnthropicに対して自社株のアップサイドを渡すワラント(新株予約権)を発行した2。

116億ドルは「条件付きのコミットメント」

まず数字の性質を確認しておきたい。8-Kは116億ドルについて、「後述の解約に関する定めと、一定の提供およびサービス可用性の要件の充足を条件として」Anthropicが支払いをコミットしたと書いている2。すでに確定した支払額ではなく、Akamai側が約束した提供水準を満たすことを前提とした契約上のコミットメントだという位置づけだ。

解約条項も具体的に開示されている。AkamaiはAnthropic側の治癒されない違反があった場合にMSAを解約でき、AnthropicはAkamai側の重大な治癒されない違反があった場合、またはAkamaiがAnthropicの直接の競合に支配される支配権の異動があった場合に解約できる。いずれの当事者も、相手方が破産・支払不能・管財等の手続の対象になった場合には解約できる。さらにAnthropicは、重大な障害(material outage)の通知があった場合、一定の条件の下で各Project Planを解約できるとされている2。クラウドの可用性がそのまま契約の生殺与奪に結びついた設計になっている。

MSAの本文そのものは公開されておらず、Akamaiは2026年9月30日終了四半期のForm 10-Qの添付書類として提出する予定だとしている2。単価や容量の内訳が分かるのはその時点以降になる。

GPUではなくCPU

今回Akamaiが前面に出しているのはGPUではなくCPUだ。プレスリリースは冒頭の要点で「AnthropicはAkamai Cloudの分散インフラとソフトウェアを活用し、大規模なCPUワークロードの伸びを支える」と述べている1。Akamai Cloudについては、数千のPoP(Point of Presence)にまたがる分散ネットワークで、コアからエッジまで連続した計算を支えるプラットフォームだと説明している。

ただし、AnthropicがそのCPUを具体的に何に使うのかは明らかにされていない。TechCrunchは、コードの実行やウェブの閲覧といった汎用的な処理を担うCPUの需要がAIエージェントの業務拡大とともに伸びてきたと指摘したうえで、Akamaiは用途を説明していないと書いている3。発表資料から読み取れるのは「CPUワークロード」という括りまでで、推論なのか、エージェントの実行環境なのか、その他の基盤処理なのかは判断できない。

AIラボが計算資源を確保する動きは2026年に入って続いており、当サイトでもRecursiveとAWSの4.1億ドル契約のように、研究段階の企業が調達額の大半を単一の計算契約に投じる例を取り上げてきた。今回のコミットメントは金額でその約28倍にあたり、しかも確保の対象としてCPUが名指しされている。

供給者が顧客に株式のアップサイドを渡す構造

契約と同じ9月18日に、AkamaiはAnthropicとワラント契約を結んだ2。プレスリリースの表現では、普通株換算で770万株、発行済普通株の最大およそ5%に相当し、行使価格は普通株1株あたり111.33ドルとなる1。

8-Kはこれをより厳密に、Series B無議決権転換優先株387,051株を対象とするワラントで、行使価格は1ワラント株あたり2,226.60ドルだと記している2。この行使価格は、発行日直前の連続30取引日におけるNasdaqでの普通株の出来高加重平均価格に、優先株1株が当初転換される普通株数である20を掛けたものだ。優先株1株が普通株20株に転換されるため、387,051株は普通株換算で7,741,020株になる。

権利確定は4つのトランシェに分かれる。第1トランシェはワラント株全体の40%にあたり、Anthropicまたはその子会社・関連会社によるProject Plan 3の下での初回支払いで確定する2。残る3トランシェは各20%で、AnthropicがMSAの下で追加の契約価値30億ドルをコミットするごとに順次確定する。プレスリリースはこれを発行済普通株を分母にした言い方で説明しており、今回の116億ドルのコミットメントに伴って確定が見込まれるのは発行済普通株のおよそ2%相当、残るおよそ3%は追加90億ドルまでの関係拡大に伴って確定するとしている1。つまり取引全体としては、総額およそ200億ドルまで膨らむ余地が織り込まれている。

株式としての設計は、議決権を渡さないことに徹している。Series B優先株にはデラウェア州一般会社法が明示的に要求する場合を除いて議決権がなく、Anthropicとその完全子会社以外に譲渡されたとき、または保有者がAnthropicグループでなくなったときにのみ自動的に普通株へ転換される。保有者の側から転換を選ぶ権利はない。ワラントおよびワラント株の譲渡先もAnthropicとその完全子会社に限られ、行使は現金払いに限られる。権利確定済みの部分は発行日の7周年まで行使できる2。

TechCrunchはこの構造について、チップメーカーやクラウド事業者といった供給側が顧客のAIラボに出資する「循環的な取引」のパターンを裏返したものだと整理している。今回は供給者であるAkamaiが顧客に持分の可能性を与え、その持分はAnthropicのAkamaiへの支出が増えるほど大きくなる、という説明だ。同記事は、AMDが昨年OpenAIとの間でチップ購入のマイルストーンにワラントを紐づける似た構造を使ったことも挙げている3。

数字の時間軸

Akamaiは、今回の116億ドルのコミットメントに関連する設備投資の総額をおよそ55億ドルと見積もっている1。あわせて2026年の設備投資を、メモリを含む重要なサプライチェーン部材の確保と先行購入のためにおよそ17億ドル積み増すとしており、一方で2026年の売上ガイダンスへの影響はないとしている。先に投資が立ち、売上は後から付いてくる形だ。

収益化の時間軸については、Akamaiの経営陣が9月24日の投資家向け説明会で、2027年下期から1.5億〜3億ドルの売上を見込み、2028年末までに年換算でおよそ17億ドルのペースに達すると述べたとTechCrunchが伝えている3。この部分は発表資料ではなく説明会での発言にもとづく報道であり、前提が変われば動く数字として受け取っておきたい。

Akamai側の位置づけとしては、この契約は同社が今年これまでに発表したCloud Infrastructure Services(CIS)の複数年コミットメント28億ドル超に上乗せされるものとされている1。共同創業者兼CEOのTom Leighton氏はリリースで「AnthropicはAIの革命を前進させており、彼らが大規模なAIインフラの構築と運用にAkamaiの能力を選んだことを喜んでいる」とコメントした。

容量の調達は利用条件に跳ね返る

この発表は、明日から使える機能やAPIの話ではない。それでも、Claudeを業務に組み込んでいる側にとっては押さえておく意味がある。Anthropicは9月22日にClaude Opus 5.5を公開して入出力の単価をOpus 5比で20%下げており、モデルの提供条件は容量の調達状況と切り離して決まるものではない。Claude Codeの週次上限は9月14日から変更され、「恒久25%増」という告知でありながら、直前の一時増を含む当時の水準と比べれば約17%減る計算になった。使える量と価格は、裏側の容量確保と供給契約の上に乗っている。

その意味で今回の契約から読み取れるのは、Anthropicが2027年から2028年にかけて立ち上がる容量を、GPU以外の領域も含めて7年単位で押さえにかかっているという時間軸だ。契約が条件付きである以上、実際にどれだけの容量が立ち上がるかは提供側の履行次第でもある。AIインフラへの投資がBig Techの設備投資に続いてクラウドの中堅プレイヤーにも波及し、その資金調達のために株式まで動員される段階に入ったことは、供給側の体力という観点からも見ておきたい。MSAの本文が10-Qで開示されれば、容量と単価の輪郭はもう少し見えてくる。

Sources

  1. Akamai Announces $11.6 Billion Multi-year Agreement with Anthropic to Support Growing Demand - Akamai Technologies プレスリリース(Form 8-K Exhibit 99.1、2026年9月24日)
  2. Akamai Technologies, Inc. Form 8-K - SEC EDGAR(2026年9月24日提出、報告事象日2026年9月18日)
  3. Anthropic to pay Akamai $11.6 billion over seven years in cloud deal - TechCrunch(2026年9月25日)

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